農作物と菌類
Agriculture with Microbe
病気の発生、又根、裂根、生育が遅いなど野菜(ニンジン)の栽培でつきものの課題はあります。アプローチの方法も数多あります。阿讃工房では微生物に活躍してもらいこれらを少しでも減らせないか取り組んでおります。
好気性菌のエース 共生菌・菌根菌
共生菌・菌根菌は植物への窒素とリンの供給能力が高いです。・・が ひとくくりに共生菌と窒素OKでは無理があります。
窒素は土壌中で硝酸態窒素とアンモニア態窒素の二種類が主役になります。土壌中でアンモニア態窒素は酸化して硝酸態窒素になります。硝酸態で植物に取り入れられた窒素はアンモニア態窒素に還元されアミノ酸へと生成されます。アンモニア態窒素で取り入れると植物が内部で使用するエネルギーが節約でき植物自身の成長速度を速めます。アンモニア態窒素は直接植物が吸収することが難しく共生菌の助けが必要となります。
硝酸態へ酸化されるアンモニア態を供給し続けるにはアミノ酸の豊富な肥料が必要となります。
アミノ酸が分解され安定的にアンモニア態窒素が供給されると共生菌の活躍により植物の成長が早くなります。
ただし、有機物に乏しい砂質系土壌で十分に有機物を供給しないとかえって共生菌が植物のエネルギー源(炭水化物)を奪い成長に阻害がでます。
写真は堆肥散布の作業一部
「植物とVA菌根菌の窒素をめぐる駆け引き」2006.11.17 名古屋大学 矢野先生 文献参考
共生菌を増やす 餌の項
好気性菌の多様性が病原菌の抑制と植物の生育に影響をあたえます。好気性菌を増やすはなし酸素の次は餌です。
ここで指す餌は有機物です。堆肥に含まれるセルロース系素材(木質チップ、もみ殻など)、水稲の藁、緑肥の残渣、肥料に含まれるバークなどです。これらは土壌粒子の間に入り土壌腐植化を進め、微生物(菌)の餌となります。合わせて菌が存在しやすいポーラス状の基剤肥料(貝殻系、卵系、ゼオライト)などを組み合わせると効果的です。
共生菌は植物から炭水化物をもらい、代わりに肥料、水分などを提供して WIN-WINの関係になります。植物がいないときにどのようにして生き延びるか。土壌中にある有機物(炭水化物の)を分解して生存しています。
また、特定の菌(共生菌、菌根菌など)だけ多いより多様性に富んだ菌叢が植物にとって快適な環境となります。